コロナ禍で「映画」はどう変わるのか。新作の封切りを映画館から配信へと切り替える動きが出始めている。アニメ「泣きたい私は猫をかぶる」は劇場公開をとりやめ、6月18日にネットフリックスで世界配信された。提示された金額では製作費のすべてをまかなえなかったというが、それでも配信に切り替えたのはなぜだったのか。山本幸治プロデューサーが舞台裏を明かし、映画や日本アニメの未来について語った。
拡大する「泣きたい私は猫をかぶる」(C)2020 「泣きたい私は猫をかぶる」製作委員会
――映画館から配信に切り替えた理由と経緯は。
「泣きたい私は猫をかぶる」は6月5日公開予定でした。映画はだいたい3カ月前くらいに本格的な宣伝が始まる。その頃に新型コロナウイルスの感染拡大があり、映画業界の人たちはとても心配していました。6月映画はまだ先だったので、すぐにどうしようという話にはならなかった。でも3月、4月の作品が延期になってどんどん後ろに倒れてくる。ただでさえ映画の上映スケジュールは混んでいるので、延期された作品の後にもう一度並び直すことになる。これはまずいぞと思ったので、3月末ごろ、配信の可能性を独自に探り始めた。いくつかの会社に探りを入れてみると、ネットフリックスが結構積極的で前向きに検討させてくれという話でした。公開を延期した先でコロナの状況がどうなっているかわからず、再延期もあり得る。そうすると公開日に向けた宣伝も無駄になる。もう一つは、その時期に映画館が仮に開いたとしても、お客さんが完全に戻ってくるか分からない。延期された映画が後ろに倒れてどんどん混んできて、ヒットしないものはたちどころに打ち切られるということも起こってしまうかもしれない。つまり色々な逆風が予想されるので、ポジティブに配信に切り替えたい、ということを製作委員会に提案しました。
――製作委員会の反…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル