食物アレルギーがある人でも、外食を楽しむことができないか。自身もアレルギーがある東京の中学2年生はそう考えた。学校の授業をきっかけに、当事者や飲食店がともに取り組みやすい解決策を思いつき、さっそく動き始めた。
提案しているのは、ドルトン東京学園(東京都調布市)の藤本真己(まこと)さん(14)。赤ちゃんのころから、卵と乳製品のアレルギーがあり、口にすることができない。触れただけでも湿疹が出るため、外出先では常に気をつけている。
飲食店で「食べられるものを持ち込みたい」と伝え、入店を拒まれたこともある。友達から誘われ、食品の持ち込みが禁止されている遊園地へ遊びに行くときは「お昼抜き覚悟」。持ち込み可能なお店でも周りの目が気になるので、行きつけのお店にしか入ることができない。
自分の力では何も変えられない――。そう諦めていたが、転機は学校の授業で訪れた。
国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」を学ぶ中で、「誰一人取り残さない」という目標が心に響いた。昨年12月から参加している学校とスタートアップ企業が提携した起業ゼミでは、「アレルギーの人でも外食を楽しめるようにする」というテーマがすぐ浮かんだ。
アレルギーがある人や家族約50人にアンケートをすると、ほとんどの人が外食をしたいと思っているのに入店を断られたり食べられるものがなかったりした経験があった。当事者が外食に壁を感じていることが浮き彫りになった。
飲食店から敬遠されているのではないかと感じたが、違う側面も見えてきた。
約20人の飲食店関係者から取ったアンケートでは、多くが「アレルギーがある人にも来てほしい」「できる限りの対応をしたい」と考えていることがわかった。ただ、アレルゲン表示をするには手がかかる。知り合いのシェフは「アレルギー対応の食材をそろえるのも大変」と教えてくれた。
両者の思いをつなげるために思いついたのが、店頭に貼ってもらう「ウェルカムステッカー」。アレルギー対応のメニューがなくても「持ち込み可能!」「対応できるかも! 相談してね!」といったメッセージを選べるようにした。当事者や家族へのアンケートでは、「ステッカーがあればお店に入りたい」と答えた人が9割に上った。メニューのQRコードを読み取ると、食材のアレルゲンが表示される仕組みも考えている。
ほかに、食品の持ち込みをしや…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル