国立感染症研究所は11月15日にインフルエンザが全国的な流行期に入ったと発表しました。11月10日までの1週間に1医療機関当りの患者数が1.03で、流行開始の目安とされる「1」を超えたからです。例年より約1ヵ月早い流行期入りです。
インフルエンザ対策の柱の一つがワクチンで、今シーズンは「約2951万本のワクチン(1mlを1本に換算)が製造される予定」(厚生労働省)です。このワクチンの効果を表す数値が「有効率」ですが、正しい理解が出来ているでしょうか。
「ワクチンの有効率60%」の意味
インフルエンザワクチンの有効率が60%と言われれば、「ワクチンを接種した人の60%はインフルエンザにかからない」と思うかもしれません。しかし、それは誤解です。
厚生労働省の「平成30年度インフルエンザQ&A」では、「ワクチンの有効率60%」とは次の状況だと解説しています。
●ワクチンを接種しなかった100人のうち30人がインフルエンザを発病(発病率30%)
●ワクチンを接種した200人のうち24人がインフルエンザを発病(発病率12%)
→ワクチン有効率={(30-12)/30}×100=60%
計算式の意味は、ワクチンを接種しなかった人(発病率30%)が、もしワクチンを接種していたら(発病率12%)、発病率を60%減らせたはずという意味なのです。「発病を減少させる割合」言い換えると理解がしやすいかもしれません。
ワクチンが重症化を防いでくれる
「ワクチンを打ったのにインフルエンザにかかってしまった」という人が少なくありません。厚生労働省も「麻しん(はしか)や風疹ワクチンで認められているような高い発病予防効果を期待することができません」と「インフルエンザQ&A」に記載しています。
そして「インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、『重症化』を予防することです」と明記しています。国内の研究によると、「65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があった」というのです。
「ワクチンを打ったのに、なぜインフルエンザにかかったの!」と不信に思わず、たとえインフルエンザにかかっても「ワクチンのおかげで重症化を防げてよかった」と感謝したほうがよさそうです。
ウェザーニュース
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース