サクラの開花やウグイスの初鳴きの時期を調べて、季節の移り変わりをとらえる気象庁の「生物季節観測」。都市化の影響などで観測が難しくなったとして、同庁が今年1月から対象の動植物を大幅に減らしたところ、専門家から異論の声が上がった。歴史のある観測データが途絶えてしまうからだ。温暖化の影響を知るのにも役立つことから、環境省などと協力して観測を続けることになった。
生物季節観測は1953年に気象庁が始めた。全国58の気象台や測候所の周辺で、職員が目や耳で確認できた動植物の開花や鳴き声などをもとに季節の遅れや進み、地域的な違いを把握してきた。観測データは、サクラの開花宣言や農作業の時期を選ぶ際に利用されてきたほか、気象への関心を高めるのにも役立ってきたという。
だが、各地で都市化が進み、最近では動植物の確認が難しくなっていた。気象庁は昨年11月、これまで観察を続けてきた植物34種目、動物23種目の対象を大幅に減らし、サクラやカエデなどの植物6種目のみにすると発表した。
これに対し、専門家の団体や学会などから「広域で長期的な観測データは極めて重要」などと観測の継続を求める意見が相次いだ。
気象庁と環境省は3月末、約70年にわたる観測データを生かしながら、対象外となった動植物についても、試行的に調べていくと発表。季節の変化だけでなく、新たに生き物の生息環境の変化や、気候変動による生態系への影響も把握することを目的に加えた。こうした専門的な調査は、国立環境研究所(茨城県つくば市)が担うという。
生き物を通じて四季を感じる…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル