経済部・三輪さち子記者
もしも、紙オムツをトイレに流せたら、家の中で臭いに悩まされることもなく、捨てる手間もなく、子育てや介護が少し楽になるんじゃないか――。
国土交通省にそんな構想がある。うちに赤ん坊はいないからもう関係ない? いやいや、年を取れば、オムツをつける日が来るかもしれない。そのオムツを誰が片付けるか、考えたことあるだろうか。
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この構想の仕掛け人、国交省の女性技術者、阿部千雅さん(51)が「仲間」と出会ったのは今から約10年前のことだった。
40代にさしかかり、管理職の声がかかる頃。周囲の男性のように、昼も夜もなく働き、飲み会をしては人脈をつくる生活を自分もやっていくのだろうか。それと同じことはできないし、なんだか違うような……。そんなモヤモヤした気持ちを抱えていた。
上司に連れられ、下水道業界の人が集まる飲み会に参加した。同世代の女性たちが、同じように上司に連れられて参加していた。
後日、その日来ていた一人ひとりに声をかけた。
「勉強会でもしませんか」。集まったメンバーは7人。日頃の仕事のことからいったん離れ、一人の人間として話をしようと決めた。
「30年後、自分たちがどんな暮らしをしたい?」
それがテーマになった。意見が一致したのが、自分の「下の世話」を誰かにしてもらいたくないという問題だった。30年後、幸せな老後を過ごすために、何か準備できることはあるんだろうか。
特に盛り上がったのがオムツ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル