眉間(みけん)で語る。不機嫌なのか、うれしいのか。眉の角度一つで自在に表現する。
「子どもっぽいところもあるんだけど、この人なりの信念がある役です」
俳優の本郷奏多は、朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の五十嵐文四郎についてこう話す。時代劇スターを目指す大部屋俳優で、死体役だったり斬られ役だったり。夢と恋人の間で揺れ動く“売れない役者”を演じている。
「無愛想な男」からの「文ちゃん」
主人公のひなた(川栄李奈)と出会った当初、役のクレジットは「無愛想な男」だった。大月の店に現れ、ぶっきらぼうに回転焼きを一つ買う。眉間のゆがみでいらだちを表していた。
笑顔を見せるのは、映画村で再会したひなたと仲良くなってから。「五十嵐」と呼ばれ、恋人になってからは「文ちゃん」に。次第に表情が緩んでいく。
けれど、ひとたび刀を握れば、侍になりきる。いつ回ってくるともしれない出番に備え、殺陣の鍛錬に余念がない。
クセ強めな五十嵐について、本郷奏多さんは「好青年ではないけれど」と愛情たっぷりに語ります。記事後半で。
演じる上で、大部屋の独特の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル