埼玉県川越市の産業観光館「小江戸蔵里」が1日、新型コロナウイルスによって自粛していた営業を再開した。明治中期~昭和初期の酒蔵3棟を転用した外観や内装が人気だが、蔵なので窓が少なく、換気を改善しようにも国の登録有形文化財のため建物を改造できない。他の観光施設が6月中に再開した一方、原形を維持しながらの設備工事が必要だったため、さらに4カ月かかった。
施設はそれぞれ建築時期ごとに、「明治蔵」は芋菓子などの特産物店、「大正蔵」は和食店、「昭和蔵」では県内34蔵の地酒を販売する。全体で例年約40万人が訪れていたが、新型コロナの影響で4月初旬から全面休業していた。
この間、対策として透明アクリル板でレジや飲食客席を仕切ったり、飲食席を半分に減らしたりしたほか、入場者の体温を感知するサーモカメラも3蔵の入り口に導入。これだけで十分であれば6月ごろに営業を再開できた。
しかし、換気をよくするために窓を広げることはできないため、大型の換気装置と追加のエアコンを天井からつり下げて設置。室外機との配管も数少ない窓まで引いて通すなど、文化財保護と両立させた。工事期間は1カ月ほどだったが、工法の検討に時間がかかったという。空気清浄機は大型の物が入れられず、分散効果も狙ってオフィス用の持ち運びタイプを計10台配備した。
総費用は計約1500万円。高田泉館長は「市の施設からクラスター(感染者集団)は出せないと、時間とお金はかかったが、即席ではなくしっかりと対策できた」と話した。(西堀岳路)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル