国会は2日、論戦の舞台を衆院予算委員会に移し、菅義偉首相と全ての閣僚が出席する基本的質疑を行う。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策や、首相が所信表明演説で表明した2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロへの具体的な道筋などが主な論点となる。立憲民主党や共産党は日本学術会議の会員任命問題への追及を強める方針だ。 予算委では、首相が10日にも編成を指示する今年度第3次補正予算案の規模なども焦点となる。経済対策となるもので、自民党の後藤茂之政調会長代理は1日のNHK番組で「必要に応じ、躊躇なく臨機応変な対応をしていく必要がある」と述べ、編成作業などに万全を期す考えを強調した。 一部の野党は、同年度2次補正予算で用意した10兆円の予備費の多くが残っているとして、政府の動きを批判する。しかし、後藤氏は「新たな局面への対応に予備費は支出できない。補正予算の検討が必要になる」と指摘。公明党の竹内譲政調会長は同じ番組で、3次補正の規模について「最低10兆円から15兆円は必要だ」との認識も示した。 エネルギー政策でも論戦が交わされそうだ。首相が示した温室効果ガスの目標をめぐっては、野党からも「前進だ。われわれも応援したい」(立憲民主党の泉健太政調会長)との声が上がった。ただ、立民や共産などが早期の「原発ゼロ」を主張する一方、首相は「再生エネルギーや原子力を含め、あらゆる選択肢を検討する」とも語っており、方向性で認識の差が浮かび上がっている。 一方、野党は学術会議の問題を政権追及の主眼に据える考えだ。 首相は学術会議の会員のうち、東大など7つの旧帝国大出身者が45%を占めることを踏まえ、「多様性が大事だと念頭に判断した」と説明している。これに対し、共産党の田村智子政策委員長は同番組で、首相が任命を見送った6人のうち3人が私立大出身者であると主張。「支離滅裂だ。語れば語るほど説明になっていない」と反発し、予算委で追及する構えを示した。 質問と答弁が一方通行の代表質問とは異なり、予算委の質疑は一問一答形式となる。首相は代表質問では原稿を淡々と読み上げて冷静に乗り切ったが、丁々発止となる予算委では当意即妙な対応が求められる。首相の答弁能力にも注目が集まりそうだ。(永原慎吾)
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