新型コロナウイルスの感染拡大が続き、明確な治療法がない中、世界中が待ちわびているのが、治療薬とワクチンの完成だ。国内では、治療薬として期待される「レムデシビル」が、早ければ週内にも承認され、使用可能となる。(竹内 竜也、奥津 友希乃)
有効な治療薬の候補として、現在注目を集めているのが「レムデシビル」と「アビガン」だ。
米製薬会社ギリアド・サイエンシズは4日、「レムデシビル」を厚生労働省に承認申請した。同省は審査までの手続きを簡略化する制度「特例承認」を適用する方針で、早ければ週内にも国内初の新型コロナ治療薬として承認される見通しだ。
エボラ出血熱の治療を目指して開発された同薬は、日本の研究機関も参加した臨床研究で、投与された重症患者53人の7割近くで症状が改善したことや、海外メーカーからの提供量が限られる可能性があるため、重症患者を中心に投与される方針。ギリアド・サイエンシズの日本法人によると、国内でも先月14日から患者への投与が始まり、世界の治験4000例のうち日本は90例。広報担当者は「一日も早く治療法として確立するための努力をしている」。副作用として、腎機能低下などの報告があるため、効果や安全性の検証を続けていく。
国内メーカー開発の新型インフルエンザ治療薬「アビガン」は、感染した俳優・石田純一(66)や人気脚本家・宮藤官九郎氏(49)らが投与後に熱が下がったなどと報じられた一方で、厚労省によると、動物実験で催奇形性(女性・男性ともに、内服した際に胎児に悪影響を及ぼす可能性がある)などの副作用が報告されている。
同薬は観察研究が進められており、先月の日本感染症学会特別シンポジウムでは、服用を始めて2週間後、酸素投与を必要としない軽症者の9割に症状改善傾向が見られたと報告された。国内での増産が始まり、政府は備蓄量を200万人分まで拡大することを決定。症状の重さに応じてレムデシビルとアビガンを使い分ける可能性もある。
アビガンは現在、臨床研究に参加登録した医療機関で、医師の判断のもと患者が同意した場合に使用でき、先月26日までに1100の医療機関で、2194人の患者に研究としての投与が行われた。現時点では新型コロナに効くかどうかは科学的に証明されていないが、政府は新型コロナ治療薬として、早期の薬事承認を目指して治験を進めている。
報知新聞社
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