12月1日の夜、コンビニ店員の原田菜々美さん(19)は、レジから1人の少女に目を止めた。
パンフレットやチラシを手につかみ、かごには大量の弁当や飲み物。未成年に見え、季節に合わない薄着姿だった。
ふと、その顔に見覚えがあることに気づいた。「行方不明の子じゃないか?」
この日の夕方、大阪府警は、知的障害のある10代の少女が前日に大阪市内で家族とはぐれ、行方不明になっていると発表。顔写真を公開して情報提供を呼びかけていた。
ツイッターで少女の情報を求める府警の投稿を、原田さんはコンビニバイトの休憩中に見ていた。
店は、行方不明になった場所から15キロほど離れた堺市の幹線道路沿い。「ひとりでここまで来られるかな」と不思議に思ったものの、目の前の少女の服装は投稿の内容と同じだった。
レジで少女と間近に向かい合うと、顔立ちがはっきり見え、間違いないとわかった。驚きはしたが、冷静に「寒くないですか」「お金はありますか」と尋ねると、「持ってない」と返ってきた。
店長の今村晃清(てるきよ)さん(36)には「行方不明の子かも」と伝えていた。やり取りを聞いた今村さんは、すぐに府警に通報した。
2人は少女を店内のイートインスペースに座らせ、商品のココアや水、おにぎりを渡した。少女は落ち着いた様子で口にした。
30分後、警察官が到着した…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル