国の中央労働委員会(中労委)が3月に、コンビニエンスストアのフランチャイズ加盟店オーナーについて、団体交渉権を認めない決定を下したことに対し、店舗を経営する加盟者らが加入するコンビニ加盟店ユニオンが国と中労委を相手に起こした、命令取り消しを求める行政訴訟の第1回弁論が28日、東京地裁で開かれた。
コンビニ加盟店ユニオンの酒井孝典執行委員長(59)は、この日、都内の司法記者クラブで会見を開き「我々は本部に対して、話し合いを持ちたい。面としていろいろなことを相談し、よりシステムを良くしたいということで活動しているですけど、本部は一切、面としての話し合いを持たずに、どのチェーンも1加盟店としか話し合いしか、どのチェーンもしてくれない」と、コンビニ加盟店の厳しい現状を訴えた。
今回の問題は、コンビニ加盟店ユニオンがセブン-イレブンに対し、2009年(平21)10月に直接、話し合いの場を持つこと、さらに同年11月に団体交渉などのルール作りを議題とする団体交渉を申し入れたところ、加盟者は独立した事業者で労使関係にないと認識しているとして、応じなかったことに端を発する。コンビニ加盟店ユニオンは翌10年3月、岡山県労働委員会に救済申し立てをした。
岡山県労委は14年3月、加盟者は労働組合法上の労働者に該当すると判断した上で、団交申し入れにセブン-イレブンが応じなかったことは、労組法第7条2項の不当労働行為に該当すると判断。会社側に団交の応諾などを命じる旨を決定した。ただ会社側は同年、不服として救済命令の取り消し及び救済申し立ての棄却を求め、中労委に再審の申し立てを行った。
中労委は、加盟者とセブン-イレブンのフランチャイズ契約は、会社によって一方的かつ定型的に決定されており、加盟者の経営は一定の制約を受け、加盟者と会社の間には交渉力の格差があるとした。一方で、加盟者は実際は店長として稼働する場合が多いが、独立した店長であり、加盟者が会社の事業組織に組み入れられているとは言えず、事業者間の問題と見るべきとした。その上で加盟者を労組法上の労働者には当たらないと判断していた。
昨今、従業員の採用難、人件費の高騰などでコンビニの24時間営業の持続が厳しくなり、時短営業を求める加盟者の叫びが大きく報じられている。酒井執行委員長は「(本社との)契約に基づいた内容で、仕事をこなさなければならなければ、人件費が高騰する中で、システムを、この40年、一切替えないでやって来た。働き方は変わっていかないし、過労死を超えるような形で働かざるを得ない。限界状態」と強調。「コンビニの24時間問題も、我々フランチャイズ加盟者の働き方の問題。我々は労組法上の労働者だと思っているけれども、そうじゃないと一切、守られない形になる。そのあたりを、もう1度、厳正に審査して、きっちりした形の裁判をしてくださいと裁判長にお願いしました」と訴えた。
その上で「ちゃんと社会が回る形にする必要がある。今回の戦いは、フランチャイズだけでなしに、周りにいる、雇用によらない働き方の皆様にも重要な裁判」と、今回の裁判が単なるコンビニだけの問題ではなく、フリーランスを含めた幅広い労働形態で働く人々、全体の問題であると強調した。【村上幸将】
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