高億翔
北アルプスの八方尾根(長野県白馬村)で、スキー場外の管理されていない自然の山中を滑る「バックカントリー」のスノーボードに訪れた男性2人が8日から行方不明になっている。県警は10日も地上から捜索を続けたものの、悪天候で中断した。気象が回復する11日にも、県警ヘリによる上空からの捜索に切り替える。
行方不明になっているのは東京都世田谷区の会社員男性(31)と長野県松川村の会社員男性(34)。2人は、八方尾根のスキー場リフトの終点に近い八方池山荘(1830メートル)から周辺の沢のバックカントリーを滑る予定との登山届を8日に出していた。
一方で、2人が同山荘からさらに稜線(りょうせん)を登った所にある唐松岳頂上山荘方向(2620メートル)に向かった姿も目撃されている。2人がどこを滑ったのかわからない状況で県警は10日、稜線北側の唐松沢と南側の崩沢方向に分かれて計7人で捜索したが、悪天候で午後1時過ぎには中断。上空からの捜索もできなかった。
唐松岳周辺は人気スポット、警察「リスクがたくさんある」
唐松岳や、頂上山荘付近から入れる「唐松沢」の周辺は、上質な雪を求めるバックカントリーのボーダーやスキーヤーにとって人気のスポットだ。ネット上や登山アプリにはいくつもバックカントリーについての記事が投稿されている。
だが、バックカントリーには「相当な技量が必要で、リスクが生じる」と、県警山岳安全対策課の櫛引知弘管理官は警鐘を鳴らす。実際の唐松沢は「雪崩の巣」だという。スキー場のように管理されていない山中では「滑っている後ろから雪崩が追いかけてくることもある」といい、「天候や技量にもよるが、普通のスキーと比べてリスクがたくさんある。それなりの経験が無い人はやるべきではない」と話した。
悪天候に阻まれ、捜索を進展させる手がかりはまだ得られていない。櫛引管理官は「10日は強風でスキー場のリフトも止まるほど。11日にはヘリで(雪崩跡を確認するなど)捜索範囲を絞り、遭難の全容をつかみたい」と話した。(高億翔)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル