都会暮らしの猿・モンジロー君が、くらしの中の「なぜ?」を深掘りする「疑問解決モンジロー」シリーズ。せみしぐれの季節がやって来たけど、俗に言われる「セミの命は1週間」は本当なのかな? ウキキッ、調べてみよう。(2019年8月26日付の記事を再掲します)
印つけ調査、寿命32日のアブラゼミも!
地道な方法でセミの寿命を確かめた高校生がいると聞いて岡山県立笠岡高校を訪ねたよ。サイエンス部の3年、植松蒼(そう)さん(18)は小学1年の夏から毎年、自由研究でセミを調べているんだって。
調査は2016年、中学3年の夏休み。夏の間にセミの死骸をあまり見ないことに気付き、こんな仮説を立てたんだ。「一般的にセミの成虫は10日前後の命といわれるけれど、もっと長いのでは」
調べた方法はかなり大変そう。網でセミを捕まえて羽に油性ペンで番号を書いてすぐに放し、また捕まえて生きているのを確認できた日数を確認する。個体識別法(マーキング調査)というんだ。
自宅近くの住宅地や公園など4カ所で、アブラゼミ、クマゼミ、ツクツクボウシ、ニイニイゼミなど計863匹を捕まえ、そのうち15匹をまた捕まえ、さらに4匹は3度も捕まえたよ。一人で約2カ月もかけたんだって。キキー、すごいね。
その結果、生存を確認できた日数は、アブラゼミ32日、ツクツクボウシ26日、クマゼミ15日。捕まえた前と後も生きているから、実際はもっと長いかもしれないね。
今年5月、植松さんはこの内容を、広島大学で開かれた「中四国地区生物系三学会合同大会」で発表した。地道な研究が専門家たちに評価され、高校生の部(動物分野)で最優秀賞に選ばれたんだって!
植松さんは「疑問に思ったことを次の年に調べる。続けていくうちに知識が増え、点と点がつながって線になる。興味を持って楽しむことが大事」と教えてくれたよ。
どうして「1週間」という通説があるんだろう。
セミの生態に詳しい広島大学…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル