水槽の中をゆらゆらと舞い泳ぐクラゲ。その姿はなんとも神秘的で見ているだけで心が癒やされるが、実際、癒やし効果が得られるとの検証結果もあるという。クラゲを目玉として展示する水族館やクラゲバーも増えており、心和ませる人気スポットとして「クラゲ」が注目される。
■好きが高じて
昨年11月、福井市のJR福井駅近くの雑居ビル2階に「クラゲbar(バー)」がオープンした。主に店の水槽にいるのは日本近海に多いミズクラゲ。チャージ料金は「クラゲ鑑賞料」だ。
店主の田中俊之さん(41)はかつて10年ほど福井県内外の水族館で飼育員として働き、クラゲを担当した経験があった。もともと生き物好きで飼育員になったのだが、そのなかでもクラゲの生態に興味をひかれた。地元に戻って「クラゲにかかわる仕事を」と考え、平成27年3月から、水族館の同僚と福井市内でクラゲ専門の販売店「アトゥーラ」を共同経営している。
主な取引先は水族館。ただ、ライバル業者が現れたり、クラゲ専門の飼育員が育成されて水族館自らクラゲを捕獲したりと環境が変化。ビジネスとして次の展開を考えていた29年、福井市内のお祭りで1日限定のクラゲbarを出店したところ大好評。そこからクラゲbarを思い立った。
■癒やし効果あり
クラゲ好きが駆けつけるなどバーの滑り出しは上々のよう。「最初はお酒や会話を楽しんでいたお客さんも、次第にクラゲに見とれてしまう」と田中さん。店内の水槽では、青や赤などの照明で半透明の傘が幻想的に輝くクラゲの様子に魅了され、癒やされる。
実際、クラゲの泳ぐ姿に人を癒やす効果があるのか確かめる検証が行われたことがある。
日大生物資源科学部が17~20年、クラゲをさまざまな観点から実験し、そのなかで癒やし効果も調べていた。クラゲの映像を見た後、唾液中の物質クロモグラニンAの濃度が低下したり、脳の血流量が減少したりと、ストレスが低減する結果が得られたという。
検証を行った広海十朗特任教授は「ゆるい拍動、水中での浮遊感、クラゲの変わった形、非日常的な雰囲気が、癒やしになるのでは」と話す。
9年にクラゲ展示を始めた山形県鶴岡市立加茂水族館が火付け役となり、全国でクラゲは水族館の人気展示。バーまで登場したクラゲの人気ぶりは、多くの人が癒やしを求めているからだろう。
クラゲbarはSNSなどで営業日を予告する不定期営業。開店時間は午後7~11時。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース