小麦や食用油といった原材料費の高騰が続き、公立学校で出される給食にも影響している。新型コロナウイルス対策で「黙食」を実施する学校も多い中、せめて献立で子どもたちに喜んでもらおうと、教諭らが限られた給食費で工夫を凝らしている。
コンソメスープの香りが廊下にも漂っていた。6月3日、愛知県愛西市立市江小学校の給食の時間。献立は米粉パン、トマトベースのソースを絡めた鶏肉、コンソメスープ、メロンゼリーのフルーツポンチ、牛乳。子どもたちは自席で前を向き、黙って食べた。
同市によると、1食の価格目安は小学校260円、中学校300円。ところが春先から食材の値段が上がり始めた。タマネギの5月の入札価格は前年の約2倍、ジャガイモや食用油も約1・5倍に。揚げ物や加工品も値上がりしているという。
手作り増やして工夫
給食の質を維持しようと現場は奮闘する。例えば先月には、既製品のチキンナゲットではなく、鶏ひき肉や豆腐を使った「豆腐ナゲット」を市の学校給食センターで手作りした。ケーキやポンチといったデザートも手作り。費用を抑えやすい地場産物や旬の食材も活用している。現場の負担増との兼ね合いを考えながら、工夫を重ねる。
同市内の小中学校の献立は、市の栄養教諭ら5人が考えている。このうち小中学校計9校分の献立を担当する津原涼さん(30)は、「既製品を活用すると作業は楽だが、コストがかかる」と話す。子どもたちに十分な栄養とボリュームを提供するため、既製品ではなく手作りのおかずを取り入れているという。
同市は今年、コロナの経済支援策として4~10月の給食費を無償化した。保護者からは「無償化で助かる」という声が寄せられているという。原材料費の高騰を受け、愛西市学校給食センターの大関泰夫所長(50)は「1食分の給食費用の見直しなど、検討する時期が近づいていると感じる」と打ち明ける。
限られた中でアイデアを練る津原さん。「黙食の中で、献立は『子どもたちが楽しみにできるもの』という側面が大きくなってきている。工夫を続けたい」と話した。
唐揚げ減り、デザートない日も
食材高騰の影響を受けた給食…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル