小野智美、津布楽洋一
那須サファリパーク(栃木県那須町)でトラが飼育員を襲う事故が起きたことを受け、猛獣を扱う県内のほかの施設で、安全管理の手順を再確認する動きが広がっている。那須サファリでは事故前日にトラがおりに収容されていなかった可能性が指摘されており、基本動作の大切さに改めて光が当たっている。
那須サファリパークと同じ町内にある那須どうぶつ王国は、事故が起きた5日夜、飼育各部署のリーダー7人を集めて安全管理委員会を急きょ開いた。現行マニュアルの改善案や、錠や施設の劣化状況、動物脱走時の道具管理を約1時間話し合ったという。
ジャガー担当リーダーの松田英和さん(42)は6日朝、もう1人の担当と「事故があったから、しっかりやりましょう」と言葉を交わして猛獣のいる建物に向かった。
動物を1頭ずつ収容する獣舎前のキーパー通路へ入る際、扉ののぞき窓から通路にジャガーがいないことを声に出し確かめ合った。さらに獣舎内のジャガーは指を差して確認。隣室へ移して獣舎を掃除し、再び鍵をかける際も、施錠は2人でさわって確認した。いつも通りの作業だが、この日は心しておこなった。鈴木和也総支配人(60)は「事故が起きた時は再発防止にすぐ対応することが非常に重要」と話した。
那須どうぶつ王国ではマニュアル通りにしているか確認するため、抜き打ち検査も行っている。注意書きも「長く貼ってあると慣れた景色になり、注意しなくなるので、時々に貼り紙を作り直す」と佐藤哲也園長(64)。半年前も、注意書きの枠を黄色から赤色に変えた。「安全管理体制をどう維持しようとしているかが重要です」
宇都宮動物園(宇都宮市上金井町)では、ホワイトタイガー4頭、アムールトラ2頭を飼育している。那須の事故をうけて、6日の朝礼で飼育員らに対し、改めて気を引き締めて鍵の点検などをするように指示をしたという。荒井賢治園長は「事故は他人ごとではない。猛獣だけではなく草食動物でも大けがにつながることもある。動物を扱う以上、居場所の確認などをしっかりやらなければいけない」と話した。(小野智美、津布楽洋一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル