長時間履くと足腰を痛めることもあるパンプスやハイヒールの着用を「女性のマナー」として強制するのはやめてほしいと、日本でオンラインの署名集めが行われたことや、根本匠厚生労働相が国会でこうした動きにコメントしたことについて、海外の主要メディアは7日までに、相次いで報道、関心の高さをうかがわせた。
日本でのハイヒール着用問題が国際的に注目されるのは、日本が科学技術や経済で先進国であるにもかかわらず、男女の平等や機会均等の面で立ち遅れているとの認識が根強いことが背景にあるとみられる。
同日までに伝えたメディアは米紙ニューヨーク・タイムズ(以下いずれも電子版)、米CNN、米FOXニュース、英BBC放送、英紙ガーディアン、ロイター通信、オーストラリア公共放送、中東のテレビ局アルジャジーラなど。
このうちガーディアンは、グラビア女優でライターの石川優実さん(32)が、強制をやめるよう求める1万8800人超の署名と要望書を厚生労働省に提出。このキャンペーンが性暴力を告発する動き「#MeToo」と、「靴・苦痛」を掛け合わせ「#KuToo」とネーミングされていることを紹介。根本氏が5日の衆院厚労委員会で「社会通念に照らして業務上必要かつ相当な範囲かと思う」と述べたことも伝えた上で、「ハイヒールは現代の纏足(てんそく)のようなもの」「男性のスーツも含め服装の規制を緩めるべき」などとする運動家の声を伝えた。
BBCは英国でも、金融会社で働くことが決まった女性がハイヒール着用を求められ、同様に反対署名集めを始め、会社側に方針を撤回させたことを伝えた。
ニューヨーク・タイムズは「ハイヒールを履くのが嫌だったり足の痛みに耐えかねたりする女性は、ハイヒールが必要とされない職場に移るしかないが、これは女性に限った話で男性は(ヒールの低い)快適な靴で過ごしている」と指摘。また、フィリピンやカナダのブリティッシュコロンビア州で、企業が女性にハイヒール着用を義務付けることを禁ずる法律が制定されたとも強調した。
一方、アルジャジーラは、ジェンダーギャップ(男女格差)の大きさを国別に順位づけした昨年の世界経済フォーラム報告で、日本は149カ国中110位にすぎなかったと指摘。CNNも日本は男女平等の面で、先進7カ国中、最下位だとした。
オーストラリア公共放送は昨年のカンヌ国際映画祭で、「トワイライト」シリーズ出演で人気の米女優クリステン・スチュワートさんが、ドレスコードに反発しレッドカーペット上でハイヒールを脱いだことを紹介した。 (共同通信=太田清)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース