元従業員たちが受けた痛み
錦織可南子さん(26)は、アップリンクの映画館運営スタッフとして、アルバイトから正社員に登用された。アップリンク吉祥寺の立ち上げスタッフとして2018年9月から現場で奔走した。オープン直前の同年12月に入ると、ほぼ休みがなく、連日朝から深夜まで働きづめで心身が疲労していったという。 さらに錦織さんを追い込んだのが、浅井氏からのパワハラ被害だったと語る。休日であっても、プライベートの携帯電話に浅井氏から頻繁に連絡があり、身も心も休まらなかったという。 「精神的に参ってしまって、続けることが難しいと上司経由で浅井氏に伝えると『とりあえず君は疲れている。休みを取って、それから辞めるか続けるか考えればいい』と言われました。京都でもミニシアターをオープンする予定だったことで、人手が足りていなかったのでしょう」 錦織さんは2019年7月下旬に5日間休みを取り、なんとか気持ちを切り替え、「休んで、もう一度続けたい気持ちになり、浅井氏に伝えました」(錦織さん)。 ところが浅井氏は面談で、なんとか気持ちを立て直した錦織さんに、心ない言葉をかけたという。 「君がこれまでやってきたことは、アルバイトのプチリーダーと変わらないよ」 さらに追い打ちをかけたのが、雇用契約について。 「そんな仕事なら、続けるとしても、君は精神が不安定だし、正社員から有期雇用の契約に変更する」 数日後、浅井氏、上司を含めて3人で話し合いの場が設けられた。錦織さんは、有期雇用への変更を口頭で伝えるのはおかしい、納得できないと伝えたが、浅井氏は冷たく言い放ったという。 「こっちは何度も説明している。もうそれが飲めないんだったら、辞めればいいじゃん」 錦織さんが、降格は不当だと食い下がると「じゃあ裁判で戦えば」と応じたという。 ただ、今度は錦織さんの肝が据わった。「わかりました(裁判で戦います)」と答えると、逆に浅井氏は「本当に訴えるの?」と聞いてきたので、「本気です」と返したという。 結局、錦織さんは2019年10月に正式に退社し、裁判の準備に入っていった。 他にも告発者5人は、浅井氏から社内で以下のようなパワハラや暴言を受けたり、目撃した例を証言している。 ・Twitter上でエゴサーチをし、アップリンクに関する悪評が書き込まれていると、「(その時に対応していた劇場の)従業員は誰だ!呼び出せ!」と命じた ・アップリンク渋谷をリニューアルする際には、突然レストランの閉鎖が決定。レストランスタッフたちにメールで解雇を伝えたが、(労働基準法で定める解雇予告の猶予期間である)1カ月をすでに切っていたため、トラブルに ・夏休みや有給休暇制度がいつの間にかなくなり、会議で訴えると浅井氏から「辞職をするか、文句を言うな」。ただ、そのやり取りを録音していたのを知ると「労働基準監督署に持っていかれると困る。君はマナーがない」(浅井氏)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース