コロナ下で密を避けて楽しめると人気の小さな船、プレジャーボートの事故が和歌山県内で増えている。和歌山海上保安部によると昨年、プレジャーボートのなかでも特に船舶免許が要らないミニボートの事故隻数が過去最多だった。海保は、啓発動画を配信するなどして注意を呼びかけている。
海保によると、2021年の県内の船舶事故は前年より15隻多い82隻(72件)。船の種別でみると、プレジャーボートが前年比9隻増の65隻で全体の約8割を占めた。そしてミニボートの事故が増えた。17~20年は多くても3隻だったが、21年は7隻だった。
ミニボートは船体の長さが3メートル未満で軽量、推進器の出力も約2馬力と小さい。このため風や波の影響を受けやすく、転覆や浸水すれば人命にかかわる事故につながる。小型船舶操縦士の免許がなくても乗ることができ、小型船舶の検査や登録も要らない。大手通販サイトで購入でき、個人間での売買も行われている。海保によると、海の交通ルールなどを知らない人が乗っているケースが見受けられるという。
海保「気象をしっかりと把握して」
海保は、和歌山市加太沖の友ケ島周辺の海域を特に警戒している。周辺は関西有数の釣り場で漁船や遊漁船、プレジャーボートが多数集まる。船同士の距離が5メートル程度まで近づく密集状態になることもあるという。海保は3月、「友ケ島周辺海域における船舶同士の衝突事故増加中」などと題した動画をユーチューブの海上保安庁のチャンネルにアップした。
海保の担当者は「海に出る人は気象をしっかりと把握してほしい。ミニボートは風や波に逆らえないので沖に出ず、海岸近くで遊んでほしい」と話した。(伊藤秀樹)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル