居酒屋の定番としておなじみの食用魚「ホッケ」が、北海道東部の沿岸で繁殖シーズンを迎えている。
ホッケのメスは、岩のすき間にびっしりと卵を産み付ける。卵の直径は2・5ミリ前後。孵化(ふか)を間近に控えた卵の内部には、銀色に輝く赤ちゃんの目玉が透けて見える。
卵を守るのは、オスの役目だ。卵を狙ってカレイなどの魚が近づくと、猛ダッシュして追い払う。
11月上旬、知床半島にある羅臼町沖の水深11メートルの岩場では、卵の表面にオスが口をつけてスパスパと動かす独特な行動を繰り返していた。そうすることで、酸素を多く含んだ新鮮な海水を卵に行き渡らせる。
命をつなぐための懸命な作業に、知床ダイビング企画の関勝則代表(69)は「がんばれよ、と声をかけてやりたくなる」と話す。
この海域での繁殖シーズンは10~11月。オスは卵がかえるまで、ずっと見守り続ける。(山本智之)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル