安倍首相が野党党首に法整備の協力要請
安倍首相は4日夕方、野党5党の党首と個別に会談し、新型コロナウイルスの感染がさらに拡大した場合に「緊急事態宣言」を発令できるようにする法改正の方針を野党各党に伝えた。
立憲民主党の枝野代表は、国会審議には協力する考えを示す一方、法改正をしなくても、すでにある新型インフルエンザ対策の法律で対応できると反論した。
立憲民主党 枝野代表:
法改正について、ご提起と協力の申し入れはあったが、現行法を明日にでも適用すれば、その方が迅速に対応できますねと。
枝野氏は法改正への賛否は明らかにせず、賛成を表明した野党は、日本維新の会のみだった。
一連の会談を終えて、安倍首相は、「各党の党首の皆さまから、大変建設的なご意見もいただきました。野党の皆さまの協力をいただきながら、1日も早い成立を目指したい」と述べた。政府与党は、来週にも法案の成立を図る方針。
緊急事態宣言が出されると、わたしたちの暮らしはどうなるのか。具体的に何が可能になるのか、主なポイントを整理する。
学校・土地・医療品などのあり方に変化
まずは、イベントなどの開催制限。一定以上の面積の映画館やライブハウスの使用を事実上、禁止することが可能になる。
そして、学校、保育所などの使用制限・停止の要請指示。安倍首相の休校要請には法的根拠がないとの批判が出ていたが、緊急事態宣言により、法的根拠を持たせることができる。
続いて、医療施設開設のための土地・建物の強制使用。国が必要と判断すれば、土地を強制的に使用し、医療施設に充てることが可能になる。
最後に、医療品や食料の収容・保管命令。現在、マスクなどの品薄が続いているが、業者に対して、売り渡しや保管を命令することが可能になる。物資を隠すなどした場合、6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰則規定もある。
緊急時には効率的なトップダウンが必要…政府は国民に安心と責任を
内田嶺衣奈キャスター:
さまざまなことが可能になる「緊急事態宣言」ですが、長内さんはどうご覧になりますか?
早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
「緊急事態宣言」は、私権を大きく制限することに繋がるので、非常に難しい問題だと思います。国の運営を「マネジメント」という視点で考えてみると、民主主義の使い分けなのではないかと思う。
「平常時」はさまざまな意見を時間をかけてじっくり聞いて議論する、いわゆる多様性を認めるボトムアップのマネジメント。それに対して「緊急時」には、スピードと効率性を重視するトップダウンのマネジメントが必要になるんだと思います。
緊急事態に求められるのは、やはり効率性とスピードでしょう。そうすることで、ウィルスが封じ込められない事態を避け、経済活動に対する影響も最小限に留めるという努力が必要なのだと思います。
内田嶺衣奈キャスター:
今回のように、経験したことのないウィルスとの戦いという中では、広く意見を集める方法では食い止めるのに間に合わないということですか?
早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
そうなのかもしれません。ただ、際限なくトップダウンでやってしまうのは独裁国家と一緒になってしまうので、「事態が収束して平常時に戻ったら元に戻るんだ」と国民に対して安心感を与え、国民からは信頼感を得るということが何よりも重要で、民主主義が試されている時でもあると思います。
内田嶺衣奈キャスター:
今回の緊急事態宣言により、政府は強い力を得る一方で、今まで以上に国民に対して強い責任を背負うことになると思います。
(「Live News α」3月4日放送分)
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