福岡国際マラソンは国内外の招待選手のほか、厳しい参加資格を乗り越えた市民ランナーらが参加し、福岡市の市街地を走り抜ける。
スタートから31・6キロの折り返し地点。多くの選手にとって、疲労がピークに達するころだった。
ここで折り返した後は、福岡市の中心部と、その先のゴールをめざすことになる。
仙台市からレースに参加していた杉田康さん(53)は、走る速度を緩めながら道路中央のコーンを回り、Uターンした。
5メートルほど前を走る男性選手は、比較的速いスピードのまま、大回りでコーンを折り返していた。
その直後だ。
「キキー!!」
大きなブレーキ音が聞こえた。
前方を走っていた選手が、後ろからきた大会の運営車両にはねられ、前に転倒する姿が飛び込んできた。「ひかれた!」という声も聞こえた。
沿道でレースを観戦していた医療関係者の男性(36)も、車のブレーキ音と「ドンッ」という鈍い音に驚き、慌てて目を向けた。1人の選手が車の右バンパーの先でうずくまっていた。
1、2回、ふらつきながら起き上がろうとして倒れたあと、腕を引きずるようにして立ち上がって走り出した。
「右手がぶらんと動いていないような感じで、明らかにおかしかった」
選手への心配と、まさかという驚きで、「沿道は騒然とした空気」だったという。
大会事務局は当日のうちに、公式ホームページに「弁解の余地はなく、競技者に対し大変申し訳ない」とのコメントを載せた。
大会の運営車両と選手がレース中に接触する事故は異例だ。事務局も「あってはならない事故」と説明する。
それがなぜ、起きてしまったのか。
レース中の異例の事故が起きてしまった理由や、その後の対応についてまとめました。事故防止の対策について、専門家にも話を聞いています。
3日の福岡国際マラソンはパリ五輪の代表選考会を兼ね、計269人のランナーが参加していた。一般の参加者は、マラソンなら2時間35分以内のタイムを持っていることが必要だ。「参加資格が厳しく、ランナーにとって夢の舞台」と話す選手もいる。
大会の事務局によると、選手…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル