大人に代わって家族の世話をする「ヤングケアラー」の子どもや若者を支援する「NPO法人こどもソーシャルワークセンター」(大津市)が、来月からヤングケアラーの家庭に弁当を無料で配達するフードデリバリーを始める。学校という居場所がなくなる冬休みを控え、支援を強化する。
日常的に家事を担う子どもたちの夕食づくりの負担を軽減しようと企画した。病気の母親に代わって家事を担っている高校生の上田二衣奈(にいな)さん(17)も企画に携わった。「授業中に今日のご飯どうしようと考えたり、学校から帰って急いで買い物に行ったりと、料理と買い物が一番大変だった。お弁当があることで少しでも子どもたちの負担を減らしたい」と話す。
初回は11月11日、吉野家から協力を受け牛丼を用意し、大津市内の約10家庭に配達する予定だ。今後、配食数を増やし県内の各地域に広げていきたいという。
支援事業を担当する職員の東岡伶弥さん(26)は、かつてヤングケアラーだった。小学生の時に父親が病気で倒れ、2人の妹の世話や料理などを担ってきた。
東岡さんは「自宅に直接宅配することで家の状況や子どもたちの様子を把握できる。次の支援にもつなげていきたい」と話す。
センターは今年度、ヤングケアラーの子どもや若者を対象に、泊まりがけのキャンプをするなど居場所づくりに力を入れてきた。東岡さんはこれから迎える冬休みを危惧する。冬休み中も子どもらが参加できる特別活動を考えており、「家にいるしかない子どもたちは多い。センターの特別活動で少しでも楽しい冬の経験をしてほしい」と話す。
センターでは、フードデリバリーや宿泊事業などを実施するため、クラウドファンディング(https://www.plus-social.jp/donation.cgi?pjid=131)で応援資金を募っている。10月末まで。
センターの幸重忠孝理事長は「体験活動を通じて子どもたちに学校でも良い変化が見られるなど手応えを実感している。県内全域に活動を広げていきたい」と話す。(林利香)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル