滋賀県甲賀市の甲賀広域行政組合消防本部が2021年、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けなかった30代の職員について、全職員との接触を制限し、ほかの職員から離れた通路脇で業務をさせていたことがわかった。職員は約4カ月後に依願退職した。
同本部は取材にこうした事実を認め、1日付の文書で「未知のウイルスと捉えられる中、感染防止に留意して業務を滞りなく行うためだった。差別の意識はなかった」と説明した。
朝日新聞の取材に応じた元職員によると、同本部警防課で勤務していた21年4月、職員向けのワクチン接種の日程を知らされたが、過去にインフルエンザワクチンで副反応が出たことがあり、上司に接種しない意向を伝えた。
その後も上司から別の接種日を告げられるなどしたが、応じずにいたところ、5月からは警防課と同じ階にある通路脇の協議スペースで勤務するよう指示を受けた。更衣室などに入ることも制限され、出勤した私服のままで勤務したり、食事も協議スペースでとることを余儀なくされたりした。職場内での行動を記録することも求められたという。
さらに、同本部は5月13日付で「ワクチン接種拒否者への業務区別について」という消防長名の文書を各所属長に伝えた。全職員との接触を制限▽来庁者ら部外者との接触を制限▽執務場所は協議スペース▽食事は執務場所で、などの内容で、文書は約200人の職員全員に回覧された。
元職員「差別、見せしめと感じた」
元職員は出勤を続けたが体調…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル