第58回大阪国際フェスティバル(朝日新聞文化財団、朝日新聞社など主催)の一環として、ワーグナーの第一人者、飯守泰次郎が年明けに関西フィルハーモニー管弦楽団と共演する。3月には、大阪の四つのオーケストラが一堂に会し、ベートーベンを競演する。(富岡万葉)
飯守泰次郎×関西フィル「ワーグナー特別演奏会」
飯守泰次郎がワーグナーを振る。それはクラシックファンにとって至福の時。「ワーグナー特別演奏会」も、そんなひとときになるのは間違いない。「今こそ『ニーベルングの指環(ゆびわ)』を聴くべきである」。コロナ禍のもとで揺れる社会に暮らす私たちに、飯守は力強く呼びかける。
- いいもり・たいじろう
- 1940年生まれ。ドイツのマンハイム市立歌劇場、ハンブルク州立歌劇場などの指揮者を歴任。2014年9月から4年間、新国立劇場オペラ芸術監督。関西フィルでは、常任指揮者を経て11年から桂冠(けいかん)名誉指揮者を務める。12年度に文化功労者及び日本芸術院賞。
前半は初期を中心とした4曲。歌劇「タンホイザー」と楽劇「トリスタンとイゾルデ」から、オーケストラのための序曲やアリアをちりばめる。舞台上で社会的距離をとることも踏まえ、小編成で演奏できる曲を意識した。
後半は、楽劇「指環」から4曲に絞り込んだ。4部からなるオペラ史上最大級の作品で、「ワルキューレの騎行」「ジークフリートの葬送行進曲」などの代表曲を並べる。「いかにもワーグナーらしい名曲でエッセンスを凝縮したい。お客さんに楽しんでいただけると思う」と自負をのぞかせる。
ワーグナー研究で知られる飯守は、聖地・バイロイト音楽祭で音楽助手を務めて今年で50年を迎えた。くしくも関西フィルも創立50周年。「盟友」として数々のワーグナー公演を成功させてきた両者は、5月に予定されていたがコロナ禍で中止になった当初の公演を集大成と位置づけていた。
それだけに、中止には無念さを…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル