板倉大地、布田一樹
不動産会社の業務で知った暗証番号などでマンションの共用玄関のオートロックを解錠し、無施錠の部屋に侵入――。こうした手口で犯行を繰り返したとして強盗・強制性交等や住居侵入などの罪に問われた男の裁判員裁判が20日、福岡地裁であり、柴田寿宏裁判長は懲役23年(求刑懲役25年)の判決を言い渡した。
有罪判決を受けたのは無職原鉄平被告(38)=福岡市博多区。2019年10月~20年2月、福岡市内のマンションで一人暮らしをする19~34歳(当時)の女性4人の部屋に侵入し、現金やキャッシュカードを奪ったり、性的暴行を加えたりした。
原被告はかつて不動産会社で働いており、内覧などのためにカードキーが保管されている場所を知っていたり、オートロックの暗証番号などを覚えていたりした。こうした知識を悪用してマンションの共用玄関から侵入。無施錠の部屋に押し入るなどしていた。被害者4人中2人については、一人暮らし用のマンションであると知っていたという。
柴田裁判長は「強固な犯意に基づく計画的な犯行。職務上知った知識を悪用した点でも厳しい非難を免れない」と指摘した。
被告はこのほか、11年11月に女性(当時24)宅に侵入した事件でも強盗や強制わいせつなどの罪に問われ、裁判官だけで審理する「区分審理」で有罪の部分判決が出ている。量刑は、これも合わせて判断した。
福岡県警は「マンション入り口にオートロック機能があったとしても安心せず、玄関の鍵やチェーンを常にかけて」と呼びかけている。(板倉大地、布田一樹)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル