「親が怪しい」――。2019年に山梨県のキャンプ場で行方不明になった次女を捜すため、インターネットで情報提供を求める母親に、そんな誹謗(ひぼう)中傷が続く。「娘が帰ってきたときのためにも中傷をとめたい」。母親は先月、投稿者を特定するための訴訟を東京地裁に起こした。
小学1年で7歳だった小倉美咲さんは19年9月、母親のとも子さん(38)ら家族や友人計27人で山梨県道志村のキャンプ場を訪れた。テントを離れて遊びに行った友達を追いかけようと、スキップしていく姿を見たのが最後だった。
捜索は約2週間で打ち切られたが、とも子さんは週に3、4回ビラ配りをし、インスタグラムなどSNSで情報を呼びかけてきた。「見つかりますように」と励ましのコメントもあった。
だが、とも子さんが事件を起こしたような言葉がネット上で目立つようになった。「殺したのは母」「居場所を知っているのでは」。記者の前で涙を見せた場面が報じられると「うそ泣き」と言われた。とも子さんを疑うコメントをした男女が自宅近くで遊ぶ長女(11)に話しかけ、その様子をSNSに投稿したこともあった。外に出るのが怖くなった。
「今のままではもうすぐネットを使い始める長女も、今後戻ってきた美咲も傷つく」。娘たちを守るため、投稿者情報の開示を求める訴えを3月29日に起こした。投稿者が特定できれば、損害賠償を請求する予定だ。代理人の小沢一仁弁護士は「ただでさえ憔悴(しょうすい)している人への中傷は理解しがたい。救済されなければならない」と憤る。
「生きてきて言われたことがない言葉ばかり」
とも子さんへの中傷をめぐって…
【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル