横浜市が毎年開催している「中学校給食メニューコンクール」の応募作品に、こんな献立があった。
「学校に行きたくなる給食」
応募したのは、不登校気味の生徒たちだ。
市立荏田南中学校(都筑区)の校舎の2階には「校内ハートフル」と呼ばれるスペースがある。
ソファやパーティションが置かれ、教室とは趣が異なる。不登校気味だったり、教室に入りづらさを感じたりする生徒たちが安心して過ごせる居場所だ。
この部屋で勉強をする子もいれば、ほかの生徒と話をする子も。思い思いの時間を過ごしている。
「誰か一緒に給食を頼もうよ」
きっかけは、2020年度から常駐する支援員の今井あすかさんがこう声をかけたことだった。
「肉じゃがだから学校に行く」生徒も
横浜市立中学校の給食は生徒が食べるかどうかを選ぶ「選択制」。今井さんも食べたことがなかったため、「どんな感じか知りたくて」。
声かけに応じた生徒たちと一緒に献立表を見て、給食を頼む日を決めるようになった。
すると、給食を頼んだ日には必ず登校する生徒が出てきた。
「肉じゃがだから学校に行く」「きょうの給食は味が薄かった」――。
昼食は、午前中だけ登校する生徒と午後から来る生徒が交流できる時間帯だ。給食の感想を言い合うことが会話の糸口になった。
今井さんはそんな生徒たちに給食メニューコンクールのことを紹介した。21年のことだ。
優秀賞に選ばれると実際の給食として提供される可能性があるという。生徒たちからは「やるしかない」との反応が返ってきた。
以来、校内ハートフルの生徒たちの挑戦が始まった。
給食メニューコンクールに応募したところ
初挑戦の21年は「ボリュー…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル