自民党の森山裕国対委員長は5日、立憲民主党の安住淳国対委員長と会談し、政府が7日に新型コロナウイルス対策として総額1兆2000億円程度の予備費の支出を閣議決定する方針を伝えた。19日以降、新型コロナに関連する委員会の閉会中審査を行うことも合意した。ただ、与党は野党が求める8月中の臨時国会の開催には応じない考えだ。安倍晋三首相は新型コロナ対策に専念し、秋に予定する内閣改造・党役員人事も念頭に、求心力の回復に努める。 財務省から説明を受けた安住氏によると、予備費の内訳は(1)中小企業などの経営を支援する持続化給付金に約9000億円(2)生活苦の世帯が最大20万円を無利子で借りられる緊急小口資金に約2000億円(3)入国者に対するPCR検査を含む検疫強化に200億~300億円-などという。 政府は令和2年度第2次補正予算ですでに10兆円の予備費を計上しており、今回はこの中から支出する。国会で新たな補正予算案を成立させる必要がないことも、早期召集の求めを拒む一因となっている。 「国会を開く理由がない」。森山氏は会談後、記者団に早期召集には応じない考えを重ねて強調した。 与党は現時点で成立を急がなければならない法案を抱えておらず、野党が追及を際立たせる機会が増える国会召集にメリットを感じていない。臨時国会の召集時期は一連の人事を終えた後を想定しているとみられる。首相は安倍内閣の支持率が低迷していることも踏まえ、態勢をじっくり立て直したうえで次の国会に臨む考えだ。 とはいえ、通常国会が閉会した翌日の6月18日以来、首相は記者会見を開いたり、国会の質疑に応じたりしていない。野党は「一国のリーダーがなぜ国会で国民に説明しないのか本当に不可解だ」(安住氏)などと批判を強めている。 与野党は、今月19日の衆院厚生労働委員会を皮切りに、7月下旬まで続けていた国会の閉会中審査を再開することで合意。来月上旬には、衆院予算委員会を開くことも申し合わせた。 安住氏は今月5日の会談で、衆院予算委の質疑に首相が出席するよう求めた。森山氏は即答を避けたが、自民党には「ある程度のガス抜きは必要」(閣僚経験者)として、首相の出席を検討する動きもある。 (大橋拓史、豊田真由美)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース