海外のキャラクターグッズを「並行輸入」して販売していた大阪の業者が昨年、窮地に陥った。日本国内での販売権を持つ企業が取引先に「並行輸入品の販売はやめて」と伝えたためだった。並行輸入品は一般的に国内正規品より安いため人気があるが、偽物が紛れ込むリスクもあるとされる。消費者はどう向き合っていけばいいのか。
「取引やめる」突然の通告
昨年の年明け早々、大阪市の輸入品販売会社の電話が鳴った。ゲームセンターでクレーンゲームなどの景品にするぬいぐるみを卸した取引先業者からだった。
「申し訳ないんですが、仕入れた商品を返品させて頂きたい。ゲームセンターから『並行輸入品の取り扱いをやめる』と言われた」。別の取引先からもキャンセルの電話が入った。男性社長は言葉を失った。
ぬいぐるみは米国の大手エンターテインメント会社がライセンスを管理する映画などのキャラクターのものだ。海外で製造や販売ができるライセンスを持つ業者は各国にある。
大阪の会社は中国や台湾でライセンスを持つ業者から買った並行輸入品を販売してきた。社長はゲームセンター運営会社に問い合わせた。同社役員は、日本のライセンス所持業者から「商品が偽物だ。販売を止めてもらいたい」とする内容証明が送られてきたと話したという。
朝日新聞が複数の関係者を取材したところ、国内の複数のライセンス所持業者が、全国でゲームセンターを運営する少なくとも3社に対し、「並行輸入品を取り扱わないように」と口頭で伝えたことがわかった。
だが、運営会社への取材は、「今後の取引に関わる」と次々と断られた。
唯一取材に応じた運営会社の…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル