今年に入って北朝鮮が相次いで弾道ミサイルを発射し緊張が高まる中、ミサイルが自分の街に飛来、落下する可能性を想定した住民避難の訓練が全国各地で行われている。自然災害でよく言われる「備えあれば憂いなし」は、ミサイルでも通じるのだろうか。香川県・小豆島であった訓練を取材し、考えた。
平和文学の代表作として有名な壺井栄の小説「二十四の瞳」。その物語をモチーフにした彫刻が立つ土庄港から約2キロ離れた土庄中学校(土庄町)で9月23日、国と県、町が共催する訓練があった。
「ウーーー」
午後2時、不安をかき立てられるような、聞き慣れない音が鉄筋4階建ての校内に響いた。全国瞬時警報システム(Jアラート)の「国民保護サイレン」だ。その後男性の落ち着いた声で放送が流れた。「訓練、ミサイル発射。ミサイルが発射されたものとみられます。建物の中、または地下に避難してください」
約2分後、3度目のサイレンの後には、「ただちに避難。14時10分ごろ、(ミサイルが)香川県周辺に落下するものとみられます」と放送された。
2階にいた3年1組の生徒たちは教室のカーテンを素早く閉め、教室の後ろに置いていた折りたたみ式のヘルメットを取り出しかぶった。真剣な面持ちで教室の中心に集まり、身をかがめた。
北朝鮮の弾道ミサイル発射が続く中、国の主導で住民避難訓練が行われています。子どもを対象にした訓練では、現場の関係者に悩みが浮かびました。
しばらく沈黙が続き、最初の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル