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中華料理店のオーナーシェフ、五十嵐美幸さん(48)は子どもの頃から実家の中華料理店を支えましたが、30歳を過ぎた頃、家を出る決意をします。背中を押したのは、知り合いの料亭のおかみの言葉でした。
「人の幸せを考える前に、あなたがまず幸せになりなさい」
涙があふれました。その時は心も体も限界だったからです。
テレビ番組「料理の鉄人」の出演がきっかけで、店は一躍有名になりました。仕込みや調理、経理までこなし、睡眠時間は2、3時間。家族や客の期待に応えたいとがむしゃらに働き、中華鍋をふって痛めた肩にはアイシングをしていました。
胃にも負担がかかっていました。「中華はおいしいけど、油が多く、調味料の味も強い。毎日味見を繰り返すと体が疲れてくるんです」
油が少なめの中華を作りたいと父に提案しても、受け入れられませんでした。揚げ物や炒め物に使われる油は、いわば中華の醍醐(だいご)味。意見は合わず、心も疲れていきました。
実家を出て友達にお金を借り、出張料理の仕事でやりくりしました。
そのときから追求し始めたの…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル