布田一樹
妊娠中の交際女性をだまして中絶薬を飲ませ、中絶させようとしたとして、不同意堕胎未遂罪に問われた福岡市城南区、会社員三前尋被告(21)の初公判が18日、福岡地裁(伊藤寛樹裁判長)であった。被告は起訴内容を認め、検察側は懲役3年6カ月を求刑。弁護側は執行猶予付きの判決を求め、結審した。判決は6月28日に言い渡される。
起訴状などによると、三前被告は昨年9月24日夜、市内の兄の家で、当時18歳の女性に性病治療薬と偽って国内未承認の中絶薬「ミフェプリストン」2錠を飲ませ、同意なしに中絶させようとしたとされる。服用との因果関係は立証されていないが、女性は約1カ月後に流産した。
検察側は、被告は女性の妊娠が分かるとインターネットで海外から中絶薬を購入し、「(被告が)性病にかかり胎児に悪影響がある」とうそを言って飲ませたと指摘。「他人の心情や生命、身体の危険性を顧みず、身勝手極まりない」と主張した。
一方、三前被告は「軽率な行動で傷つけてしまい、謝罪の気持ちでいっぱいです」と述べた。弁護側は被告が真摯(しんし)に反省し、被害弁済の意思もあるとして、執行猶予付き判決が相当とした。
厚生労働省によると、ミフェプリストンは子宮を収縮させる効果がある別の薬「ミソプロストール」と併用の条件で、承認申請に向けた治験が現在進んでいる。(布田一樹)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル