京都の先斗町(ぽんとちょう)は江戸時代にできた花街だ。鴨川のすぐ西、約450メートルの南北の通りに、お茶屋や飲食店が150軒ほど並んでいる。軒先には、町のシンボルの千鳥をあしらったちょうちんが揺れる。
この町は路地が多い。20本以上もある。行き止まりになったり、隣の木屋町通に出てしまったり。迷路のようだが、薄暗くて謎めいていて、そそられる。
路地の魚は「まちづくり」
その一つに、数十個の水槽やガラス鉢が並ぶ場所がある。金魚やコイ、メダカが泳ぐ。夕方からライトアップされる。観光で訪れた若者や外国人、修学旅行生が立ち止まり、スマホを向けている。
「水槽はインターネットで買った安物だし、魚も知り合いの養鯉(ようり)業者に届けてもらっているだけなんだよなあ」
こう話すのは、すぐそばでウサギの雑貨が並ぶ店「うさぎのアトリエ ぴょんぴょこぴょん」を営む神戸啓(あきら)さん(47)だ。2018年ごろから路地で魚を飼い始め、20年に「路地水族館」と名づけた。入場料は取らず、えさ代の募金箱を置く。ライトアップされた魚たちは、花街の路地の風情とレトロさから、SNSで人気が広まった。
「観光スポットにしたいとか、利益を求めようとか、そういう気持ちは一切ない。まちづくりの一環です」
先斗町は景観も治安も悪く、お茶屋街の風情を失っていたそうです。住民らが立ち上がりました。記事の後半で語られます。
神戸さんは、先斗町まちづく…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル