車体は潮風でサビだらけ。内側の壁紙はあちこちではがれている。瀬戸内海に浮かぶ女木島(めぎじま)(高松市)で、「昭和」の観光バスを目当てに訪れる人が絶えない。ただ、最近は運行会社内からも「みっともない」との声も。このまま走らせるか、現役引退か、社長の心は揺れている。
女木島は高松港からフェリーで約20分。周囲9キロに約130人が暮らす。島の中央には桃太郎伝説で知られる鬼ケ島大洞窟があり、「鬼ケ島」の別名がある。バスは地元の「鬼ケ島観光自動車」が運行し、港と大洞窟の片道約10分の間を、主に観光客を乗せて往復している。
会社が所有する4台のバスの中で、見るからに古いそのバスは、普段は港近くの駐車場に置いてある。5月に車検が切れ、今は改修のため修理業者に出されている。
長さ約8メートルで28人の客が乗れる。1984年に新車で購入して以来、一度も塗装していない。そのため、車体はサビが目立ち、とくに後部はほぼ全面がサビで埋め尽くされている。車内も壁紙がはがれ、サビが目立つ。網棚の一部も壊れたままだ。自らもハンドルを握る福井隆之社長(72)は「改装する予算がなく、毎年、車検に出して整備するだけで精いっぱいだった」と話す。
そんなバスが、3年ほど前から…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル