四国電力の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)が広島高裁から運転差し止めの仮処分決定を出されたことで、西日本の電力需給や電気料金の先行きに不安が広がる。伊方に加え、関西電力と九州電力の計4基が、テロ対策施設の完成遅れのため3月以降に順次停止するためで、夏の電力需要期を前に対策が迫られる可能性もある。
伊方原発では1、2号機の廃炉を決めたため、3号機は四国唯一の原発。定期検査が終わる4月に本格運転の再開を予定していた。四電の総発電量の約1割を占める主要電源で、停止が続くと電力需要に痛手だ。火力発電所の稼働を増やして対応する方針だが、燃料費は毎月約35億円増加するという。
四電は東日本大震災後の原発停止で、平成25年に電気料金を値上げ。「今回、値上げは検討していない」としているが、長期化した場合、安定供給や電気料金への懸念が強まる。
震災後に再稼働を果たした原発は、伊方のほか関電、九電の計9基。九電は川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)をテロ対策施設の設置期限に間に合わないとして今年3月以降順次運転を停止する。2基の運転がそろうのは、順調に工事が進んだ場合でも来年1月だ。
関電では今年8月に高浜原発3号機(福井県高浜町)、10月には4号機が設置期限となり、順次停止する。
関電の場合は幹部らの金品受領問題も原発の稼働に影響が及びそうだ。高浜1号機と美浜3号機(同県美浜町)は7月以降に再稼働を予定するが、地元では高浜町の野瀬豊町長が「議論の環境をつくってもらうのが第一歩」と話すなど、再稼働に不可欠な地元同意が得られるか不透明な状況になっている。
東日本大震災後、西日本の電力各社は相次いで原発再稼働を果たしただけに、運転停止が長期化すれば、供給計画を見直す必要も出てくる。猛暑などで予想外に電力需要が増えた場合にどう対応するかも経営課題になりそうだ。
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース