鳥取市で24日に開かれる第10回全国高校生手話パフォーマンス甲子園(朝日新聞厚生文化事業団、朝日新聞社など後援)に出席するため、秋篠宮家の次女佳子さまが23日、鳥取県内入りした。佳子さまの鳥取訪問は8回目。
佳子さまはこの日午後、空路で鳥取空港に到着。市民ら約180人が出迎えた。佳子さまはその後、鳥取市河原町の西郷地区にある「いなば西郷工芸の郷」を訪問した。
工芸の郷は人間国宝の前田昭博さん(69)が工芸家が集まる地域にしたいと構想を提唱。2016年以降、毎年「西郷工芸祭り」を開催するなど地域をあげて工芸家の活動を支援している。
佳子さまは西郷地区公民館で、陶芸や木工など地元の工房で制作された多彩な作品を鑑賞。市立西郷小学校の児童は、地元の窯元で作った茶わんを佳子さまに披露した。
同小では週1回、給食で茶わんを使用しており、佳子さまが「この茶わんで食べるご飯はおいしいですか」とたずねると、児童らは「とてもおいしいです」。佳子さまは終始笑顔で児童の説明に大きく何度もうなずきながら耳を傾け、「今日はとても貴重なお茶わんを見せて頂き、ありがとうございました」と声を掛けた。
陶芸の実演も見学。因州・中井窯の坂本章さん(58)がろくろで盛り鉢の形を整える作業を間近で見た佳子さまは、陶土に指で触れ、「割と硬いんですね」と驚いた様子で話した。
県内各地を襲った8月の台風7号では、西郷地区も浸水被害を受けており、佳子さまは気遣うように「ほかの方はいかがでしたか」「大変でしたね」などと言葉をかけた。
坂本さんは報道陣に「勇気づけられた思いで、すごく励みになった。いい仕事をしたい」と話した。さまざまな工芸作品の説明をした前田さんは「作品を見ながら熱心に質問し、作っている者にお言葉を頂いた。励みになるし、本当にありがたい」と語った。
茶わんの説明をした西郷小学校6年の森田桃杏さん(11)は「(佳子さまの)話し方がとてもやさしかったので話しやすかった。西郷の良さが伝わったらうれしい」と笑顔だった。
今年は4年ぶりに、手話甲子園前日の参加校による交流会も復活した。鳥取市内のホテルに約250人の生徒らが集まり、佳子さまが登場すると、大きな拍手や手話で歓迎。生徒の代表らが佳子さまと手話などで懇談した。
鳥取聾(ろう)学校(鳥取市)2年の竹村颯太さん(17)は佳子さまから「明日はどんな演技をして、見どころはどこですか」などと質問され、「それぞれの個性があるパフォーマンスが見どころです」と答えた。「佳子さまの手話は見やすくてスムーズで、私より上手だと思った」と笑顔で語った。
秋田県立聴覚支援学校(秋田市)3年の伊藤蘭丸さん(18)も佳子さまの手話の分かりやすさに、「(手の動きの)大きさや表情がすばらしいと思った」と驚いていた。(大久保直樹)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル