生活や仕事で手放せなくなったスマートフォン。アプリを通して個人のデータが集められ、知らぬ間に広告などに利用される。見ていたはずのスマホから実は見られていた――。そのからくりとは。
ランキング上位で人気の写真・動画投稿アプリをダウンロードしてみた。「位置情報へのアクセスを許可しますか?」との確認画面で「許可しない」を選び、GPS(全地球測位システム)機能もオフにした。しかし旅先でアプリを開いてみると、近くの観光地やおすすめの宿の広告が表示された。
なぜか。アプリ提供会社の利用規約を見ると「広告などを利用者にパーソナライズする目的で、利用者の現在位置、住所、好んで行く場所、付近の事業者や人々などの位置関連情報を利用します」とあった。利用するデータの一例として、インターネット上で端末の「住所」に当たるIPアドレスが挙げられていた。
このアプリは、実名登録を前提としたSNSサービスをグループが持つため、収集した利用者のデータと結びつければ、利用者を実名で特定できる環境にある。本来であれば収集したデータを利用するには、個人情報保護法に沿って利用者の同意を得る必要があるが、アプリ提供会社が規約に記すのは「広告主や効果測定を行うパートナー企業に提供する」とあるだけ。自分のデータがどこに、どれだけ提供されているか想像するのも難しい状況だ。
この会社の広報担当者は「利用者を特定できる情報を広告主には提供せず、利用者の情報をいかなる第三者にも販売することはない。個人の関心に合わせた広告配信とプライバシーの保護は相反せず、両立できるよう取り組んでいる」と取材に答えた。
情報の取り扱い、アプリ会社も把握できず
一方、共有先の外部業者が、アプリ利用者の情報をどう取り扱っているかは、アプリの提供会社でさえ把握できていないのが現状だ。背景には、アプリ開発業者の多くが、アプリを簡単に作るためにパッケージ化されたソフト開発キット(SDK)を使っているという事情がある。
人気のスマホアプリから個人の情報が取得されていることがわかりました。スマホ画面の向こうで、何が起きているのか。裏側を取材しました。
米グーグルやフェイスブックな…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル