【動画】ビルの下敷きになった店舗兼住宅に戻り、家族との思い出の品を探す楠健二さん=滝口信之、豊島鉄博撮影
能登半島地震で、石川県輪島市の居酒屋が7階建てビルに押しつぶされた。関東から移住してきた一家の住まいでもある。28日、現場には、失った妻子の思い出を探す店主の姿があった。
「言葉を失うね」。楠健二さん(55)は、ビルの下敷きになったままの建物を見てつぶやいた。
1、2階が居酒屋、3階を住居として、妻由香利さん(当時48)と次男、次女と4人で暮らしていた。
川崎市から6年前に家族で移り住んだ。由香利さんが同県七尾市出身で、家族でよく輪島市を訪れており、「ここで飲食店を開きたい」と考えた。「わじまんま」と名付け、地元の人や観光客らに石川県産のノドグロやフグなどを提供。コロナ禍で客足が減って苦しいときもあったが、1月2、3日は、予約が埋まっていた。
あの元日、長女珠蘭(じゅら)さん(当時19)も川崎市から帰省していた。店は定休日。家族5人で過ごしていた。
午後4時過ぎ、1回目の揺れが襲った。5人は着替えて外に逃げる準備をした。直後に激震が来た。揺れの最中、健二さんは後頭部に衝撃を感じた。次の瞬間、5人は階下に突き落とされた。
健二さんは、飼い犬の鳴き声…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル