複数の警護員が配置されていながら、車道を歩いて背後に近寄ってきた男による銃撃をなぜ防げなかったのか。安倍晋三元首相が銃撃され殺害された事件は、警察の警備・要人警護の不備を浮き彫りにした。
どこにどんな問題があったのか、立て直しを迫られる警護警備の課題は何なのか。警察官僚として長く警備畑を歩んだ高橋清孝・元警視総監は、組織に属さない「ローンウルフ(一匹おおかみ)」型の事件に対する備えの必要性も指摘する。
――参院選の遊説中に起きた今回の事件では、警察による警備、警護に問題があったと言わざるを得ません。問題点をどう見ていますか。
すべての点で問題だったと考えています。現職時代に長年、警備警察に身を置き、選挙中の政治家の警護も経験してきました。何事もなく終わらせるのが警護警備の任務、目的で、今回、重大なことが起きてしまったことは警察の大きな失敗であり、負けと言えます。負けの原因、要因は多くあります。
――失敗の要因を具体的にはどう見ていますか。
まず、選挙中の街頭演説の場所の設定の問題があります。
場所は基本的に候補者や政党…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル