森下裕介
虐待の疑いで生後1カ月半の長女(3)を児童相談所に一時保護され、面会を制限されたのは不当だとして、母親が大阪府に500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、大阪地裁であった。山地修裁判長は一時保護の必要性がなくなった後も継続し、面会制限を事実上強制したのは違法と認定。「本来得られたはずの母子の愛着形成の機会を失った」として、府に100万円の賠償を命じた。
山地裁判長は、長女の頭に骨折が2カ所あり、1度の落下で骨折したとみなすのは不自然だと通告され、2018年12月に一時保護を始めたのは不合理ではないと指摘。だが、虐待を疑う根拠となった鑑定書の信用性の検討を家庭裁判所に促された際、対応していれば保護は必要ないと認識できたとし、19年4~8月の一時保護を違法とした。
また、行政指導としての面会制限は親の任意の協力が必要なのに、母親が19年1月に弁護士を通じて面会を求めた後も制限を事実上強制したとし、同年2月までの面会制限も違法とした。
判決後の会見で、母親は「制限をたくさん受けたのは娘。娘のため、と言いながら本当に娘のためだったのか。府はきちんと検証してほしい」と話した。府は「判決の内容を精査した上で、控訴するかどうかも含め検討する」とのコメントを出した。(森下裕介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル