令和最初の終戦の日を迎えた15日、日本武道館(東京都千代田区)で行われた全国戦没者追悼式では、平和を願われる天皇陛下のお言葉に、同じ戦後世代の男性たちが遺族会活動を引き継ぐ決意を改めて誓った。
「60歳になって初めて来ました。遅くなってすいません」。全国戦没者追悼式に初めて参列した兵庫県福崎町の小国(おぐに)万左夫(まさお)さん(60)は、式典前に靖国神社と千鳥ケ淵墓苑で拝礼し、ビルマ(現ミャンマー)で74年前に戦死した祖父に心の中でわびた。
式典では、「一柱でも多く一日でも早く」と戦没者の遺骨収集の進展を求める遺族代表の言葉を聞き、胸に迫るものがあったという。その言葉に、一学年下で同世代の天皇陛下が真剣に耳を傾けられている姿も心に響いた。「戦没者への思いをひしひしと感じ、ありがたかった」
今年1月、母に懇願され、福崎町遺族会の青年部長に就いた。戸惑いは大きかったが、「性根を入れてやらないといけない」との覚悟を新たにした。
母が同町遺族会の女性部長を務める吉識(よしき)順平さん(48)は、祖父がビルマで命を落としたことを祖母から口癖のように聞かされてきた。女手一つで育てられた母の苦労も見てきた。「祖父は家族のために戦死した。遺族会を引き継ぐのは使命だと思う」と話す。
同町在住で、フィリピン・ルソン島で祖父を失った菊田慶一さん(55)は15年ほど前から、上京のたびに靖国神社を参拝してきた。それでも町を代表して初めて列席した追悼式で、「日本の今日の繁栄は、祖父たち戦没者の犠牲のもとにある」との思いを改めて実感した。
追悼式では、陛下が平和に繰り返し言及された。21歳、18歳、8歳という3兄弟の父でもある菊田さんは「私たちが子供に伝える義務があるし、今後も若い世代が慰霊に参加してほしい。そのために役立ちたい」と誓った。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース