日本政策金融公庫からの融資を無登録で仲介したとされる事件に公明党衆院議員の秘書2人が関与した疑いがあるとして、東京地検特捜部は4日、関係先として東京・永田町の衆院第1議員会館の事務所などを貸金業法違反の容疑で家宅捜索した。特捜部は押収資料を分析し、秘書らが不当に利益を得ていなかったかなどの解明を進める。
秘書2人は、吉田宣弘衆院議員(比例九州)の政策秘書と太田昌孝衆院議員(比例北陸信越)の元政策秘書で、両議員の会館事務所は4日午前から午後8時ごろまで捜索を受けた。吉田氏の秘書は以前、遠山清彦・前衆院議員の政策秘書を務めており、遠山氏が代表のコンサルタント会社(東京都千代田区)なども捜索対象になった。
関係者によると、2人は、遠山氏の知人が公庫と借り手の融資契約を無登録で仲介したとされる事件に関わった疑いがあるという。太田氏の秘書は7月下旬に辞任している。
貸金業法は「貸金業」について金銭の貸し付けのほかに貸借の仲介も含まれると定義し、いずれも登録が必要となる。無登録営業に対する罰則は10年以下の懲役か3千万円以下の罰金。
財務副大臣などを務めた遠山氏は今年2月、コロナ禍の緊急事態宣言中に東京・銀座のクラブに行った問題で議員辞職し、吉田氏が繰り上げ当選して秘書も引き継いだ。太田氏は17年に初当選し、1期目。
公明党の石井啓一幹事長は4日夜、「党衆院議員の国会事務所が議員や秘書以外の人物に関わる被疑事件に関連して捜査された。厳粛に受け止め、捜査に全面的に協力していく」とのコメントを出した。
吉田氏は「ある方の被疑事実による捜索差し押さえ令状により、私の事務所の捜索が行われた。ある方は私や私の秘書ではない。今後、事案の全容解明のために全面的に協力していく」、太田氏は「私自身は全く関与していないものの、ご心配をおかけし、心よりおわびする」とコメントした。
捜査の端緒になったのは、太陽光発電関連会社「テクノシステム」(横浜市西区)の社長・生田尚之被告(47)を5~7月に詐欺罪で逮捕・起訴するなどした事件だとみられる。生田被告は昨年、太陽光発電やバイオマス発電事業への融資名目で3金融機関にうその見積書を提出するなどして計約22億円をだまし取ったとされる。融資金を他の借金返済に充てる自転車操業だったとみられ、特捜部はその後も捜査していた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル