共産党は4日の第8回中央委員会総会(8中総)で示した綱領改定案で中国を批判し、「米国糾弾」のトーンを抑えた。立憲民主党などに呼びかけている野党連合政権構想を実現すべく、外交政策で「現実路線」に転換したとアピールする狙いが透けてみえる。とはいえ、日本の安全を守る日米安全保障条約に対する批判的な見方は堅持しており、本質はなんら変わっていない。(内藤慎二)
「中国公船による領海侵入などが激増、常態化している。(日中)両国関係の正常化を提言していながら極めて不誠実な対応だ」
志位和夫委員長は8中総でこう報告し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)などで覇権主義的行動を強める中国に不快感を示した。10月15日には着任あいさつで党本部を訪れた中国の孔鉉佑駐日大使に対し、東シナ海や香港で威嚇的行動をとらないよう要求。同24日に野党統一会派幹部と懇談した際も中国を批判しており、最近の共産党は対中強硬ぶりが目立つ。
その背景には、国民や、野党連合政権の樹立を呼びかけている他の野党から一党独裁の中国共産党と「同一視」されることへの焦りが見え隠れする。実際、山下芳生副委員長は党大会決議案の説明で「旧ソ連だけでなく近年、中国に表れたさまざまな問題によっても日本共産党に対する誤解、偏見が少なからず生まれている」と強調。綱領改定については「党建設で前進する新たな力となる」と語った。
とはいえ今回、「日米安保条約を廃棄し、アメリカ軍とその軍事基地を撤退させる」との綱領の記述は堅持された。小池晃書記局長も党大会決議案の報告で「日米安保条約を背骨とした『異常なアメリカいいなり政治』はあらゆる分野で行き詰まりを深め、国民との矛盾が噴出している。条約を国民多数の合意によって廃棄する」と明言した。
共産党が立民などに本気で野党連合政権の樹立を呼びかけるならば、「日米安保条約なしで、いかに核兵器を増強する隣国から日本を守るか」を具体的に説明することが求められる。
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