安倍晋三首相(自民党総裁)が政府与党連絡会議で内閣改造を来週実施すると表明し、党内ではポスト獲得に向けた動きが本格化した。関口昌一・党参院議員会長は会議直後に首相と面会し、現内閣で3人が起用されている「参院枠」の増加を要望。首相はこれまで政界を引退した吉田博美前参院幹事長の手腕を期待し、参院自民党の推薦を受け入れてきた。今回の人事では、後任の参院幹事長も焦点になっており、世耕弘成経済産業相らの名前が挙がっている。
関口氏は2日午後、官邸で開かれた政府与党連絡会議に出席した後、首相と20分ほど面会した。関口氏が参院として推す入閣待機組の議員を提示し、首相は参院側の意向を尊重する考えを伝えたとみられる。
現内閣の参院議員は世耕氏、山本順三国家公安委員長、片山さつき地方創生担当相の3人。ただ、世耕氏は首相の出身派閥の細田派(清和政策研究会)で、首相との関係も近いだけに、「実質的な参院枠は山本、片山の2氏」(参院幹部)といわれる。
平成24年12月に第2次安倍内閣が発足した当初は、首相が望む人材の登用が目立っていた。だが、吉田氏が参院幹事長に就任し、参院の実力者として国会運営や人事を取り仕切るようになると、首相も信頼を寄せ、参院執行部の意向を尊重するようになった。
今回は吉田氏の引退後、初の人事となるため、首相が参院枠をどう扱うかに注目が集まる。参院自民幹部は、関口氏が参院枠の増加を首相に要望したことについて、昨年10月発足の第4次改造内閣で参院からの閣僚が4人から3人に減ったことを挙げ、「参院の威厳を保つためにも要請したのでは」と推測する。
合わせて焦点になっているのが世耕氏の処遇だ。空席になっている参院幹事長の有資格者として名前が挙がっているためだ。
先の参院選で自民は単独過半数を割り込んだが、首相は憲法改正に意欲を見せている。国会での改憲議論で参院幹事長には調整力やリーダーシップが求められる。また、吉田氏は首相に自身の後継として世耕氏を推したとされる。
ただ、世耕氏は経産相のほか、ロシア経済分野協力担当相を兼務し、安倍政権の重要課題を担う。党内には「本人は続投したいのではないか」(参院ベテラン)との指摘もあり、参院幹部は「あとは首相の判断次第」と語る。
参院自民はこれまで最大派閥の細田派、関口氏や吉田氏の竹下派(平成研究会)、岸田派(宏池会)の主要3派が主要人事を主導しており、新執行部の布陣は世耕氏の処遇によって左右される。
一方、各派閥も待機組の入閣に向けて働きかけを強めている。
細田派は当選3回の末松信介参院議院運営委員長、岡田直樹参院幹事長代行が適齢期になっている。竹下派は二之湯智参院決算委員長、岸田派は金子原二郎参院予算委員長らの名が挙がる。3派以外でも麻生派(志公会)で先の参院選で5選を果たした武見敬三元厚生労働副大臣も候補になっている。(今仲信博、田村龍彦)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース