ビニールハウスに差す柔らかい朝日が、レタスの葉を照らす。宮城県名取市の桜井勉さん(63)は寝床の子どもを起こすように、畝(うね)を覆う保温シートを優しくはがして歩く。目尻のしわが、朝一番の緑を目にして深くなった。
2011年3月11日、真っ黒な津波が押し寄せ、街は灰色と化しました。目に映る色は同じでも、心に焼き付く色はそれぞれ違います。11年の想(おも)いを「色」に込めて伝えます。
仙台空港に隣接した北釜地区。太平洋を望む一帯は2011年3月11日、東日本大震災の津波に襲われた。桜井さんも畑やビニールハウス、自宅を流された。
親族宅に身を寄せて1カ月…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル