TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。4月17日(金)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士の横山智実さんが会社の“安全配慮義務”について述べました。
◆新型コロナ 差別をなくすには?
新型コロナウイルスの感染拡大が続く地域に仕事で行った保護者の子どもに対し、愛媛県の小中学校が健康状態に問題がないにも関わらず自宅待機を求めていたことがわかりました。これは愛媛県新居浜市の教育委員会の判断で、児童は入学式や始業式を欠席。その後、市はWebサイト上に経緯を記載し、保護者らに謝罪しています。
学校は3密になりやすく、さらには感染者には潜伏期間があり、症状が出ない人もいることなどを考えると、「感染リスクの排除、生徒を守るという意味では今回の対応は理解できる」と横山さんは私見を述べつつも、「差別はどうしてもダメ」と主張します。
例えば、クラスターが発生した京都産業大学には多くの抗議の電話があり、なかには「感染した学生の住所を教えろ」、「殺すぞ」といった言葉もあったそうで、「そういったことは犯罪に繋がる」と危惧します。
そもそも生命や身体、自由、名誉、財産などに害を加える発言は“脅迫罪”に該当し、「住所を教えろ」といった義務にないことを行わせることは“強要罪”。ネットに根拠のないデマを書いたり、それを拡散させたりするだけでも“名誉毀損罪”や“業務妨害罪”になり得るそうで、横山さんは「軽卒な行動は控えてほしい」と訴えます。
◆会社には従業員を守る安全配慮義務がある
また、横山さんは不要な差別を生まないためにも、「その要因である感染リスクを排除する努力を会社側は行わなければならず、“安全配慮義務”が課せられている」と指摘。会社は従業員を守るべく環境整備をする義務があり、これまでの裁判例では「現在の科学的知見に基づく対応策をしなさい、と言われている」と説明。しかし、専門家や医者などが、3密を避け、マスクや手洗い、テレワークを推奨し、8割の接触機会削減を求めているにも関わらず、多くの会社では達成されていないのが現状です。
そんな現状に対し、横山さんが「(新型コロナに)かからないだろうと思っている社長の方がいて、従業員にもまだ何も対応していない方もいる」と印象を語ると、同じような不安はMCの堀潤のもとにも寄せられているそうで「本当は休みたいのに経営者の意向で“休めない”という人がいる。一方で、仕事量や家計などの事情から“働きたい”という従業員がいる」と打ち明けます。
そういったさまざまな事情を理解しつつも、従業員を出勤させたことで新型コロナに感染してしまった場合は「労災になり得る」と横山さんは言います。さらには、会社の安全配慮義務が果たされたかが後々問題になり、「感染した従業員から裁判を起こされるリスクもある」と示唆。
それだけに会社側は政府などが提示している対応策をとるべきで、それがわかりやすくまとめられているものとして、静岡県の永野海弁護士がWebサイト上で公開している「新型コロナ対策支援カード」を紹介。そこには事業者だけでなく一般の方も含め、どういうときに、どういう対策を、どの窓口で対応してくれるのかが掲載されています。
会社経営者でもあるWebクリエイターのシモダテツヤさんは、経営者は社員よりも経営者同士で話す機会が多いため、彼らの意識を変えるためには「社員にテレワークをさせている人の話を直に聞いてみるとか、そういった機会を増やすことが大事になってくる」と話していました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース