北海道函館市の特別養護老人ホーム「恵楽園」で、認知症の入所者に対し不適切な身体拘束が行われていた問題で、元職員の女性が施設内での虐待行為を市に通報した後に解雇されたのは違法だとして、運営する社会福祉法人「恵山恵愛会」(菅龍彦理事長)を相手取り、職員としての地位確認や精神的苦痛による損害賠償165万円などを求める訴えを函館地裁に起こした。提訴は27日付。
高齢者虐待防止法は、虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は市町村への通報を義務づけ、「通報をしたことを理由として、解雇その他不利益な取り扱いを受けない」と定める。原告代理人の倉茂尚寛弁護士は「解雇は他の従業員に対して威圧的効果を与え、虐待の隠蔽(いんぺい)を図るために実行された。合理的な理由がなく、違法・無効だ」としている。
訴状によると、元職員は2018年4月から勤務。施設では入居者に対し、タオルケットをきつく巻き付ける▽ベッドを柵で囲う▽ズボンを下げ、おむつをあらわにしたままにする――ことが行われていたという。ある入居者に確かめたところ、特定のスタッフから「くそばば」「くたばれ」「死ね」と暴言を吐かれたなどと打ち明けられたとされる。
元職員は昨年10月、一連の…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル