縄跳びで7重跳びのギネス記録を持つ日本人がいる。縄跳び教室の講師を務め、今年1月からプロとして活動する森口明利さん(29)=愛知県蟹江町=だ。競技者として目標に掲げるのは前人未到の8重跳び。「縄跳びをとことん極め、競技としての魅力も伝えたい」。8(はち)重(じゅう)の語呂に合わせ、8月10日に記録に挑戦する予定で、人類初となる大技の成功を目指して練習に励んでいる。(宇山友明)
「ビュビュン、ビュビュビュン」
高速で縄を回すと、空気を切り裂くような鋭い音が響く。跳び方のコツは、空中でかがむように上半身に太ももを引きつけること。「滞空時間を長く保つため、7重跳び以上はこの跳び方じゃないとできない」と力説する。
小学生のころから、4重跳びができるほど縄跳びが得意だった。中学はバドミントンをしていたが、転機が訪れたのは京大時代。縄跳びのサークルに入ると、世界大会も開催されるほどの競技性に魅せられた。「跳び方の組み合わせ次第で無数に技の種類があることを知り、奥深さを感じた」。とりこになるのに時間はかからなかった。
垂直跳びが約90センチというジャンプ力を生かし、大学時代には世界大会で表彰台に立った。社会人になってからも5重跳び21回や6重跳び2回のギネス記録を次々と樹立。平成29年には世界で初めて7重跳びを1回成功させ、「大学時代からの夢だったプロとして生きたくなった」。
競技者として縄跳びに集中するため、昨年8月には約4年間勤めた繊維メーカーを退社。現在は愛知県や福井市で縄跳び教室の講師として生計を立てながら、目標の8重跳びを成功させるためにプロとして活動している。
ただ、偉業達成への道は想像以上に険しい。計算上、8重跳びを成功させるには滞空時間が0・82秒は必要になるというが、自己ベストは0・80秒。今後の練習でジャンプ力を磨かなければならないほか、年齢的に体力がピークを過ぎていると感じることもある。それでも、8月10日の挑戦に向けて「最後のチャンス」と意欲を口にする。
森口さんには、競技としての縄跳びの普及という、もう一つの大きな目標もある。そのために、全国各地の小学校やショッピングモールなどでパフォーマンスを披露している。「スポーツとして認識され、野球やサッカーのように子供たちが取り組む選択肢の一つになれば」。縄跳びの求道者として高みを目指しながら、魅力を発信していく。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース