道立江差高等看護学院で複数の教員が学生らにパワーハラスメントを行い、2019年に男子生徒が自殺した問題で、道保健福祉部は1日、記者説明会を開き、遺族側と「損害賠償の範囲」について交渉していることを明らかにした。道は、これまで遺族側に示した回答書でパワハラと自死の因果関係や、自死の予見可能性を否定してきたが、道の担当部局が改めてそれを確認した格好だ。
同部の古川秀明・地域医療推進局長は記者説明会で、遺族側に対し、民法416条(損害賠償の範囲)における、加害者側が自殺を予見すべきであったかなどについて、遺族側と食い違いがあることを認めた。
道第三者委は調査報告書で、学生がリポートの提出期限に1分遅れたため教員に受け取ってもらえず、留年になったことなどがパワハラにあたるとし、自死が予測可能な場合に賠償責任を負う「相当因果関係」が認められると結論づけている。
しかし、道保健福祉部は調査報告書で第三者委のメンバーの1人が「本調査はハラスメント行為者および管理者の民事上の責任追及を直接の目的とするものではない」と主張したことなどを根拠に、鈴木直道知事らによる過去の謝罪の有効性を維持し、パワハラと自殺の因果関係を否定する立場が両立すると主張した。(松尾一郎)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル